令和6年度 長瀬高浜(ながせたかはま)遺跡の発掘調査成果


2024年5月15日

湯梨浜町立図書館での速報展が始まりました!

湯梨浜町内で開催中の速報展は、役場本庁舎での展示が終了し、5月15日から湯梨浜町立図書館での展示が始まりました。役場本庁舎では、囲炉裏跡の剥ぎ取りのみの展示でしたが、今回は、出土した本物の土器も展示しています。土器はいずれも古墳時代初めごろ(約1,700年前)の土師器で、ほぼ完全な形で出土した逸品たちです。とくに、鍋(甕)はススやコゲが厚く付着しており、囲炉裏跡とともに古墳時代の炊飯や調理のようすをリアルに感じることができます。ぜひ、この機会にご覧ください。

会期:5月15日(水)~5月26日(日) 
場所:湯梨浜町立図書館(湯梨浜町龍島497) 午前10時~午後6時まで 月曜休館

写真1 湯梨浜町立図書館での展示

2024年5月15日

スス・コゲの調査指導&ワークショップを行いました
 長瀬高浜遺跡から出土した古墳時代初め頃の土師器は、ススやコゲが良好な状態で付着しており、当時の炊飯や調理方法を解明するうえで重要な資料といえます。そこで、この度スス・コゲ研究の第一人者である小林正史先生(金沢大学客員教授)に調査指導をいただきました。また、先生の御厚意により鳥取・島根の文化財関係者も参加し、ワークショップ形式で開催しました。
 今回のワークショップでは令和4・5年度に出土した50点前後の鍋(甕など)を実際に観察しながら、ススやコゲの観察方法やその意義について学びました。さらに、参加者の三谷智弘氏(株式会社パレオ・ラボ)からは、スマートフォンやタブレットのLiDAR(ライダー)と呼ばれる機能を使った三次元計測の方法について教えていただきました。
 観察の結果、炊飯時のふきこぼれ直後の早い段階で鍋を傾けて湯取り(余分な水分を重湯(おもゆ)として取り除くこと)したこと、湯取り後の蒸らす工程では、熾火(おきび)上で鍋を転がしながら側面から加熱したこと、炊き上がったお米が鍋の頸部付近まで詰まっていたこと、形状から貯蔵用の壺とした中にも鍋として利用されたものがあること、などの数多くの知見を得ることができました。また、調理以外でも多くの鍋が廃棄後に二次的な被熱を受けていることが明らかになり、土器が廃棄された穴(使われなくなった竪穴建物や溝など)で頻繁に生ごみ等を燃やした可能性が高まってきました。
今回は一部の資料しか観察できませんでしたが、さらに遺物整理を進めていく中で囲炉裏跡との関連を含めて多角的な検討を行っていきたいと思います。

写真1 ワークショップのようす

写真2 スマートフォンを使った三次元計測

写真3 スス・コゲが厚く付着した土器

2024年4月15日

『発掘調査速報展inゆりはま』が始まりました!

4月15日から湯梨浜町内での発掘調査速報展が始まりました。今回の目玉は、初公開となる古墳時代初めごろ(約1,700年前)の囲炉裏跡です。
発掘調査で見つかった遺構をそのまま剥ぎ取って保存処理した、本物です。
湯梨浜町教育委員会との共催で、町内の3施設で巡回展示しますので、この機会にぜひ、ご覧ください。

会期及び会場
4月15日(月)~4月26日(金) 湯梨浜町役場本庁舎(湯梨浜町久留19-1)
5月15日(水)~5月26日(日) 湯梨浜町立図書館(湯梨浜町龍島497)
5月29日(水)~6月9日(日) 湯梨浜町中央公民館泊分館(湯梨浜町泊1204-1)

開館時間及び休館日
湯梨浜町役場本庁舎 午前8時30分~午後5時15分まで 土日閉庁
湯梨浜町立図書館 午前10時~午後6時まで 月曜休館
湯梨浜町中央公民館泊分館 午前8時30分~午後5時まで 月曜休館

主な展示品
剥ぎ取り保存された囲炉裏跡・出土品・パネル
※湯梨浜町役場本庁舎では出土品の展示はありません。

主催
公益財団法人鳥取県教育文化財団調査室・湯梨浜町教育委員会

入館料
無料

写真1 湯梨浜町役場本庁舎での展示