平成26年度
下坂本清合遺跡
 


2014年12月25日

今年度の下坂本清合遺跡の現場作業が、本日をもって終了しました!

大型掘立柱建物跡や井戸、川跡に設置された護岸施設など、予想以上に多くの遺構が現れて、慌ただしくも楽しい調査でした^^

現場に降りそそぐ陽の光が、発掘調査が無事に終わったことを祝福してくれているように見えます。

年が明けてからは、この発掘調査で得た情報を整理し、成果としてまとめていきます。

整理作業をしていく中でどんな発見に出会えるのか楽しみです!

発掘速報では、新たな発見をどんどんお伝えしていきますので、来年もよろしくお願いします。

それでは、よいお年を!


2014年12月15日

週末に積もった雪で、現場はあたり一面真っ白です!

この日の作業は、雪かきから始まりました。

今年の調査も終了間近で、ブルーシートをたたんだり、発掘道具を片づけたりと、一部では現場の撤収作業に取り掛かっています。


まるで置いてあるように見えます

土鍋の形があまりにも完璧すぎたため、誰もが手をこまねきたたずんでいます

2014年12月9日

発掘調査では地面を平面的に掘り下げていきますが、土層の観察をするために、帯状に畦(あぜ)を残しながら調査を進めます。

12月に入り発掘調査も終了間近になったので、1-1区の土層観察用の畦を取り払う作業を行いましたが、この日はその畦の中からとても残りの良い鎌倉時代の土鍋が見つかりました!

見たところどこも欠けておらず、こんな奇跡的なことは珍しいと、ひとつ前の記事でお伝えしたお椀に引き続き皆を感動させてくれました。





出土したのは鎌倉時代頃の川の底にあたる場所で、どっしりと置かれたような状態で見つかりました。

誰かが意図的に川底に据えたのかもしれません…。

もしそうなら、どんな意味があって土鍋を川底に置いたのでしょうか。謎は深まるばかりです…!


2014年11月21日

1-1区で、美しい漆塗りのお椀が出土しました!

鎌倉時代頃の護岸施設の中から見つかったもので、黒漆に朱色の花のような模様が描かれています。

ほとんど欠けておらずきれいな形のまま出土したので、調査員も感激しました!










ところでこのお椀、きれいに洗って観察したところ、さらに我々を興奮させてくれました。

なんとお椀が金色に輝いているではありませんか!

剥げてしまっている部分が多いですが、もともとは内側も外側も、お椀全体が金色に覆われていたようです。

金箔かなにかが貼られていたのでしょうか…!

金色のお椀が眠る土地、下坂本…。

高級な食器を持つ有力者が、鎌倉時代にこの土地に住んでいたのかもしれません…!


花びらに見える模様が描かれています

ところどころに輝く金色がまぶしい!

何人もの作業員さんが、慎重に土を取り除いていきます

2014年11月4日

10月3日の記事で、1-1区から木材などを使って造られた護岸施設が見つかったことをお伝えしましたが、その翌日の親子体験教室で発掘をしていただいた場所を後日さらに掘ると、立派な護岸施設の続きが現れました!

丸太や竹、建築部材などの長い棒を並べて杭で固定した後、枝やカヤのような植物を敷きつめて造られているように見えます。

その範囲は、現時点で全長約20m!

岸辺に沿って設けられていますが、川の跡は調査区の西端から東に向けて約100mにわたり続いているのに、どうしてこの20mの範囲だけを護岸しているのでしょうか?

その答えは、今月21日発行の発掘通信『鳥取西道路の遺跡を掘る!』第67号でお知らせします!お楽しみに!

http://kyo-bun.sakura.ne.jp/hakkututushin/tushin67.pdf


2014年10月9日・16日

3区の西側から井戸が見つかりました!

写真1は10月9日、写真2は10月16日に撮ったものです。

掘り進めると、この井戸は木でできた枠を持つことが分かりました









ところで、写真2では右側に赤白のピンポールが立っています。

そしてその先にスポンジが付いていて、井戸から湧き出た水を吸収し、井戸を見やすく、掘りやすくするために工夫しています。

この井戸が掘られたのは鎌倉時代ごろですが、それから約800年経った現在も水が湧き出てくるのです!

ちなみに、井戸の周囲の土は砂で崩れやすく、昔も今も、井戸掘りは大変というところでしょうか。

写真1 井戸(10月9日)

写真2 井戸(10月16日)

出土遺物の説明

何がでるかな・・・

うまく火がつくでしょうか!トリピーも応援しています!

土器で炊いた古代米。火おこしで着いた火をカマドにくべて炊きました。

2014年10月4日

「鳥取西道路発掘調査・親子体験教室」を開催し、合計35名の方々にご参加いただきました!















本物の遺跡での臨場感ある発掘体験では、鎌倉時代の川の跡から次々と出現する護岸施設や、動物の骨、貝がらといった遺物を慎重に掘り出していってもらいました。















また、昔の方法での火おこし、土器を使った古代米の炊飯・試食をして、昔の生活の一部を体験していただきました。
















時おり小雨の降る肌寒い天候でしたが、皆さんがとても楽しそうに体験されている様子で担当者も一安心でした!


2014年10月3日

1-1区では2週間ほど前から鎌倉時代の川の跡を調査中ですが、その川のあちこちから、たくさんの木材がぞくぞく見つかっています。

それらは無造作に川に投げ入れた物ではなく、川岸が崩れるのを防ぐため、杭を並べて打ち込んだり、葦(あし)のような植物をいくつも重ねて造られた護岸施設だと考えられます。










詳しい構造はこれからの調査で明らかにしていきますが、川の近くに住む昔の人々の知恵をこうして目の当たりにすると、言い知れぬ感動を覚えます!

 



杭や葦のような植物がたくさん見つかりました!

写真1 大型掘立柱建物跡

写真2 礎盤石

2014年9月11日

3区の西側から大きな建物を支えていた柱の跡が見つかりました(写真1)。

この建物は、柱が重さで沈み込むのを防ぐための「礎盤石」という石(写真2)を伴い、鎌倉時代ごろに建てられたとみられます。

建物の主は当時の下坂本周辺の有力者と考えられ、まさに大発見!








発掘通信『鳥取西道路の遺跡を掘る!』第65号でも取り上げましたので、そちらもご覧ください!

http://kyo-bun.sakura.ne.jp/hakkututushin/tushin65.pdf

2014年9月9日

1-1区で鎌倉時代の地面を調査中、縦180p、横80pほどの長方形に黒くなった範囲を見つけました。

もしや・・・と思って慎重に土を掘ってみると・・・。















骨が出てきました!

専門家による鑑定が必要ですが、人の足の骨のようです。

どうやらこれはお墓の穴だったようです。

 


突如現れた謎の黒いシミ

お墓だったようです!

こんなにたくさんの木の実が!

2014年8月21日

1-1区では、鎌倉時代の地層からたくさんの木の実が見つかりました。

ドングリでしょうか。こんなにたくさんの木の実が一か所から出てくるなんて、なにがあったのでしょう!?

人が食べるために水にさらしていた?

近くの木から落ちてきたもの?

それとも、リスが埋めたまま忘れてしまったのでしょうか??


2014年8月4日

1-1区で、鎌倉時代〜室町時代頃の田んぼの土から木製の容器の一部が見つかりました。

これは「曲物(まげもの)」といって、円筒状の胴体に底板をはめ込んだものです。

写真では、割れて3分の1ほど残った底板と、細かく折れた胴体の板が見えます。









丸く曲げた胴体の板の両端を、細く切った桜などの樹皮でとじますが、今回はその樹皮がまさに合わせ目に縫いこまれた状態で見つかりました!

田んぼでの仕事に必要な何かを、曲物に入れて持ってきていたのかもしれませんね^


割れた曲物の一部

側板の合せ目に縫いこまれた樹皮

作業員さんのいない発掘現場・・・

2014年7月31日

この日は晴天にも関わらず、発掘調査が中止になりました。写真に調査員や作業員さんの姿はありません。

実は、気温が高く、熱中症の危険があったため作業が中止になったのです。

この日の最高気温は鳥取地方気象台の観測で37.8℃・・・。

熱中症への注意も必要でしたが、あわせてこの日は朝から雷注意報も発令されていて、現場を引き上げてしばらくすると雷鳴が聞こえてきました・・・。

天気に仕事を左右されるのは、今も昔も同じといったところでしょうか!?

2014年7月16日

1-1区を調査中、田んぼの畦(あぜ)の跡から動物の歯が連なって出てきました。

形から見て、馬か牛の歯のようです。

土の中で頭骨が腐ってなくなったあと、エナメル質などの無機質を多く含む歯だけが、腐らずに残ったと考えられます。

かつて田んぼで働いていた牛か馬のものでしょうか。

 


長い歯がいくつも見えます

何か隠れています・・・

たくさんのお金でした!

2014年7月10日

1-1区の土の中から、丸くて青緑色をした何かが顔をのぞかせています。

慎重に土を掘ってみると・・・!













なんと!たくさんのお金が出てきました!

その中の1枚に刻まれた文字をよく見ると、「皇宋通宝」と読めました。

皇宋通宝は、鎌倉時代〜室町時代頃に中国の北宋から輸入された「渡来銭」です。

10枚以上あるようですが、昔の人の落し物・・・?


2014年7月2日

6月30日と本日の2日間、気高中学校2年生の2人が発掘現場へ職場体験に来てくれました。

遺構を掘ったり、出土遺物などの写真撮影をしたり、測量をして図面を作成したりと、なかなかのハードスケジュール・・・!












それでも彼らは真剣に、そして楽しく取り組んでくれました。

これを機に考古学に興味を持って、身近な歴史に興味・関心を深めていってほしいものです!


遺構の掘削作業風景

測量風景

青空に映えるラジコンヘリコプター

ラジコンヘリコプターからの眺め

2014年6月27日

ラジコンヘリコプターを使って、3区の上空から写真撮影を行いました。















空から見下ろすことで調査区の全容を把握しやすくなり、周辺の地形との関係もよくわかります。

調査区の北に広がる田んぼ、また遠くの方には日本海も見えて、壮観な眺めですね^^

2014年6月10日

発掘通信『鳥取西道路の遺跡を掘る!』の下坂本清合遺跡のコーナーでもお伝えしている謎の大きなくぼみ(参照:http://kyo-bun.sakura.ne.jp/hakkututushin/tushin62.pdf)から、木製品がざくざく出てきました!

その中のひとつ、写真1の製品は「荷札木簡」といい、荷物などにつける札として使われました。

ひもをかけるために端っこに切り込みが入れてあります。













この荷札木簡は上の部分が折れてなくなっていますが、おそらく写真2のような形をしていたと考えられます。

中央になにやら文字が大きく書かれていますが、その内容は今のところ検討中です・・・。

なんと書かれているのでしょうか・・・!結果が楽しみです!


写真1 荷札木簡

写真2 荷札木簡の復元図


2014年5月22日

遺跡の片隅で、ヒバリの巣を見つけました。4つの小さな卵が寄り添うように集まって、かわいいですね^^

翌日には、卵を温めるお母さんの姿も。ひなが産まれるのが楽しみです。










山の近くの農地にある下坂本清合遺跡には、たくさんの鳥や小動物が遊びにきます。

仕事の合間に彼らを見ていると、疲れも癒されます!


2014年5月20

3−1区東側の状況を、高い写真用足場の上から撮影しました。

写真手前から真ん中に伸びる1本の白いすじは、江戸時代の田んぼの畦(あぜ)と考えられます。











上から見ると遺跡全体の状況を把握しやすいのですが、高い所が苦手な人にとっては、高さ約5メートルの足場の上は怖いものです・・・。

柵から手が離せません・・・!




2014年5月8日

1−1区では江戸時代頃の田んぼの水路跡から、煙管(きせる)の頭の部分と、江戸時代のお金「寛永通宝」が見つかりました。

田んぼで働く人たちが、煙管をふかして一休みしている光景が目に浮かびます^^



2014年5月1日

3−1区で、江戸時代の耕作土の中から動物の骨が見つかりました!

動物の種類や骨の部位など詳しいことはまだ不明なので、今後調査していく必要があります。

昨年度の発掘調査でも鎌倉時代の川の跡から馬や牛の骨がたくさん見つかっているので(ホームページ、「発掘現場から」の平成25年度下坂本清合遺跡7月17日を参照:http://kyo-bun.sakura.ne.jp/hakkutugenbakara/sokuho
%20shimosakamotoseigou13.html
)、今年度もどんどん出てくることが予想されます。


2014年4月17日

3−1区の土の中から、銅印(青銅製のはんこ)が見つかりました!

銅印は奈良時代(約1,300年前)から国や役所で使われ、その後地方の有力者なども使うようになりました。

この銅印には「吉」という字が書かれていますが、はたして何を意味しているのでしょうか・・・!

2014年4月15日

重機で表面の土を掘り終えた3−1区では、調査区のまわりに人力で溝を掘り始めました。

この溝によって、土の層の重なり方を知ることができ、水はけもよくなります。

地面の下から湧き出た水を、写真手前のポンプで吸い取っています。










大勢の作業員さんたちが集まり、今年度もにぎやかな現場風景が戻ってきました!


2014年4月7日


今日から、重機を使って3−1区の表面にある耕作土を取り除きます。

これからどんな発見があるのか楽しみです!

2014年4月1日

新年度が始まり、下坂本清合遺跡の発掘調査準備も整いました。

今年度は、昨年度の調査区(2区)の両隣2か所(1−1区・3−1区)を調査します。

今はまだ何もない原っぱですが、来週から重機による掘削作業が始まると、調査区の様子は日々変わっていきます。

さんさんと降り注ぐ陽光が、発掘調査の行く末を照らしてくれているようですね!