日本人が鍬をはじめとした農具を使い始めたのは、田んぼで本格的に米を作り始めた弥生時代。実はこの時代から現代まで、鍬や鋤の形はほとんど変わっていないのです。
ただ「刃先」だけは、時代によって変わってきています。現代の鍬は、柄の部分以外すべて鉄でできていますが、弥生時代の初めごろ(約2500年前)に登場した鍬は、柄から刃先まですべて木でできていました。
その後もすぐに全体が鉄になったわけではありません。弥生時代の終わりごろ(約1800年前)になると、別に鉄でつくった刃先を鍬の先端につけるようになりました。鉄を使っているのは刃先だけでも、作業の効率はずいぶん上がったことでしょう。
この刃先だけが鉄の鍬や鋤は、弥生時代の終わりから、つい数十年前(所によっては戦後)まで、二千年近くも使われ続けました。