遺跡でみつかる鉄製品は、長い年月の間に付いた厚いサビによって、もとの形が分からなくなってしまっています。
ここで登場するのがX線撮影。病院では、骨や内臓など、体の中を透視するために使われますが、これを考古学に応用すると、肉眼ではわからなかった細かな形がみえてきます。

 考古学というと、みつかった土器や、歴史の文献を研究する文系的なイメージがありますが、意外と理化学的な方法を使った分析など、理系的な部分もあるんです。

 上はX線撮影(レントゲンともいいますね)を、鉄の矢じりの分析に利用した例ですが、他にも物質に含まれる炭素の放射性同位体(炭素14)の含有量から、遺物などの年代を調べる「炭素年代測定」などは、科学的な分析方法でも有名なものです。

 遺物に秘められた謎は、肉眼での観察だけでは解けないものも多くあります。日進月歩する周辺科学の応用は、新しい研究方法として、考古学の世界でも有効に用いられています。

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